彼の知りたいこと
なんでもない日だった。 世界は少しずつ滅びに向かっているけれど、それはまだ当分先のことで、穏やかといえる時間が過ぎていく他愛のない、とある一日。 ちょっとだけ陽射しが強くて暑かったから、裏通りの少し奥まったところで、二人で木箱に腰掛けて、…
ANWAR&TIA
犬というより
ローアンの街を取り囲むようにして流れる清らかな小川には、様々な生物が住んでいる。 占い横丁の西の作りかけの橋から見下ろす水面の底にも、いくつもの魚影が確認できる。 うららかな陽射しも心地よい午後のとある日。 ティアはそんな川辺で、レクスと…
ANWAR&TIA
取り残された時間
はっきりと、覚えている。 砂埃立つ砂漠の民の集落で、暑く眩しい太陽よりも、もっと輝く笑顔を浮かべた少女が自分に対して差し出してくれたもの。 攫ってきたその少女に己の名を教えたときよりもずっと、胸の奥がざわめいた。 砂漠の片隅にひっそりと咲…
ANWAR&TIA
結婚しようよ
占い横丁でもっとも実力があるとされ、その的中率に恐れ慄かれる魔女ナナイの館は、普段はよほどのことがなければ誰も寄り付かず、静かなものだ。 しかし、うららかな陽射し心地よい本日、明るく澄んだ笑い声が館から漏れ出していた。 占い用…
ANWAR&TIA
おそろい
カレイラの首都、ローアンに雪が降る。「……」 ナナイは裏通りに足を踏み入れたことを後悔した。 占い横丁の自分の家へと帰るのに、レクスという少年がつくった近道を利用しようと思ったのが、まずかったようだ。 ナナイの深く美しい緑の視線の先に、一…
ANWAR&TIA