彼らの攻防

 カレイラの首都、ローアンの街入り口。
 そこは、昼間は街へ向かう者がとおり、さらには占い横丁や道場のある地域へと繋がる道も交わるため、それなりに人が行き交うところだ。
 だが、夜にもなると人っ子一人いなくなる。
 夕暮れ時には、少し寂しささえ感じるようなこの場所に、カレイラの英雄と名高い少女が住んでいる。その肩書きには見合わぬ質素さの家は、知らぬものがみたならばすこし驚くかもしれない。
 大体、こんな場所で年端も行かぬ少女が一人暮らしなど、物騒極まりない。
 しかし現在、彼女には非常に頼もしい身辺警護がついている。
 すやすやとあどけない寝顔で夢の世界へ旅立っていったティアを確認し、精霊たちは暗い部屋の中で顔を見合わせた。
「今日もはりきっていくぞ!」
 大切な少女を起こさぬように気をつけて、レンポが腕を振り上げて小さく気合をいれる。
「おー!」
「……わかってる」
 ミエリがそれに応えるように、小声で手をあげる。なんだか妙に楽しそうだ。
 了解していると、ネアキがこくりと頷いた。一見冷静そうなネアキだが、ぎゅんぎゅんとその手の杖には冷気が集まっている。すでに臨戦態勢にはいっているらしい。
「では、各自散開。今夜もティアの平和をなんとしても守るのです」
 ウルの静かだが有無をいわせぬ指示に、各々が家の外へと飛び出した。